ホテル ニューツルタ

HOTEL

別府の海辺に息づく、現代のくつろぎ

□プロジェクト概要

別府湾のヨットハーバーに面する老舗ホテル「ホテルニューツルタ」。1960年代に竣工された本館、1980年代に増築された新館からなり、長年の営業で老朽化が進んでいました。快適性・安全性の向上と施設価値の再生を図り、2022年より営業を継続しながら段階的に改修を実施。これまでに外観・客室・共用部・大浴場・設備等の改修が進んでいます。

私たちはこのホテルを、“ウェルビーイング”という思想を映す、「より良く生きる人」のための時間の舞台として設計を進めてきました。滞在そのものが心身を整える体験へ、そんな滞在価値を掲げています。

 

□外観・空間の設計と工夫

建物外観は、老朽部を補修しながら、色彩・サイン・照明・植栽を一体的に整えました。異なる年代に建てられ意匠が分断されていた、本館と新館の2棟のあいだに統一感と流れを生み出すため、外観をグレーと白を基調に整え、低層部を同じカラーリングで揃えました。更新したロゴの視認性と照明効果を組み合わせ、リブランディングにもつなげています。

廊下には別府湾の朝焼けと海のグラデーションをモチーフにしたカーペットを敷き、うつろう一日を足元に映し出しています。

 

7階の「プレミアム和モダンルーム」は「現代的な和」をテーマに、和洋折衷の滞在型客室へ再構成しました。旅館スタイルの合理性(布団敷きによる定員の柔軟性)を継承した畳敷きの小上がりに加え、ワークスペース、ミニキッチンを備え、ファミリーやワーケーションにも対応する機能性をもたせました。木と光に包まれる空間で窓辺から別府湾を望むひとときが日常をほどきます。

 

6階の展望大浴場は、別府湾を一望する象徴的な場所です。建物の未来を見据え、老朽化が進んでいた鉄骨屋根を温泉と海風に強い構造に更新しました。

浴室内は高天井化・換気設備の更新・ガラスの交換を施し、朝日の差し込む明るい浴室へ。大窓の透明硝子を入れ替えた上に貼替可能な保護フィルムを施工し、光と眺望をいっそうクリアに引き寄せる眺望とメンテナンス性を両立しています。また、石張の浴槽や、温泉成分が重ねた記憶はそのままに、天井や照明、洗い場などを刷新。親子で並べる小さな洗い場も、新たに設えました。

脱衣所は木調の鍵付きロッカーへ更新し、ドライヤーブースも新設しました。ロッカー番号はデザイナーによるオリジナルのフォントです。

私たちはこのホテルを、時代の流れに合わせて、ウェルネスをテーマとした心身を整える時間を過ごせる宿へと変化させました。

 

DATA

所在地:〒874-0920 大分県別府市北浜

主用途:ホテル

構造・規模:新館 鉄骨鉄筋コンクリート造一部鉄骨造・地上6階建て/本館 不明・地上8階建て

建築面積:新館 507.73㎡ / 本館  ー

延床面積:新館 2,238.18㎡ / 本館  ー

竣工:2024年6月

Photos : 前田尚史(ローズカメラ)

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